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2009年 03月 25日

創造都市 ボローニャ

私が大学で師事していた中村剛治郎教授のゼミで、よく当時金沢大学におられた佐々木雅幸氏のゼミと交歓ゼミを行った。

その佐々木さんが書いた本で、【創造都市への挑戦】という名著がある。

この第2章の書き出しはこうだ。

「アメリカの著名な都市研究者、ジェーン・ジェイコブズが「創造都市」と呼んだ、ボローニャに、今新たに世界からの注目が集まっている。」

ボローニャは、いわゆる「オリーブの木」連合の発祥の地である。共産党とは違う、新たな第3の道を探った中動左派のグループであり、実際に町中に多く、協同組合や、連合、アソシエーション、などの組織のオフィスを見る。

街の真ん中に、小さなファッションの店や、宝石の店、陶芸、楽器、さらには、見事なパイプの店などが多く並ぶが、これらの多くはその店の裏、あるいは上の階にある小さな工房で作られた物だ。中小企業/工房が多くあり、それらが協同で情報交換などを行っている。

中小企業が多いが、それぞれが独立している(下請けではない)ので多くの人がいわば「社長」で街の所得水準は大変高い。

また、創立900年以上を誇る世界最古の大学の一つがあり、しかもその大学は、学生達が主役であり、彼らの組合が教授を選ぶ、という形をとったのである。現在、有名な教授としては、哲学者で作家でもあるウンベルト・エーコがいる。(いまでもいるのかな?)

佐々木雅彦先生のまとめによると、このようなイタリアの産業地区の特徴として、次の三点があるとの事だ。

1)インテリアやファッション製品などの消費材にしろ、工作機械などの生産材にしろ特定分野の産業が地域的に集積している

2)地区を形成している企業はほとんどが中小零細企業ではあるが、独自の技術を持って地域内分業を発展させ、互いに水平的ネットワークを組んで物作りをしている点であり、大企業は例外的であると言ってよい。

3)中小企業のネットワークを支える州政府や自治体による支援システムが形成され効果的に機能していること

(同著、54ページより)

「イタリアでは、独創性の乏しい人が大企業で働き、反対に個性的な、あるいは創造的な人物は自ら会社を興すというように起業家精神が大変旺盛であり、新規操業を支援するシステムも整っている。【第三のイタリア】では個性的な製品を作り出すには大企業より、むしろ人間的規模の企業の方がふさわしいとしており、経営者も従業員も対等に話し合って、設計やデザインを一緒に構想する中で独創性あふれる製品が創造されると考えている。」(同57ページ)

より近代の産業に関しては、街をちょっと出たあたりに、特にパッケージング機械の企業がいくつも集積しており、また、30Kmほど離れたモデナ市にあるフェラーリの本社に関連して、高技術の自動車部品工場がいくつかある。

そのようなハイテクインダストリーの一角にBolognaFioreというコンベンションセンターがあり、今現在、【Bologna Childrens’ Book Fair」という児童書関係では、世界最大のフェア(BtoB)が行われている。(それ以外に世界で有名なのは、Book Expo America, London Book Fair, そして、何よりも秋に行われるFrankfurt Book Fairであり、これらは、一般の客があまり入らないが、実に多くの商談が行われるのだ。)

その影響もあり、ボローニャには、出版関係の会社も多い。

2、3人から、10、20人ぐらいの多くの出版社がいろいろな工夫を行って、新たな出版市場を作り出している。

とはいえ、同時にイタリアはローマに本社をおく企業やフィアットを中心とした独占的大企業もある。特にメディア界では、ご存知ベルルスコーニの支配が圧倒的だ。

また、イタリア人はほとんど本を読まず、TVやゲームの力が大きい。
ここで、出版業界としても、ベルルスコーニ率いるメディアグループとどうつきあうか、という問題が出る。TVで取り上げられたりしないと本もなかなか売れないのだ。もう一つは流通経路として、一般書店、コミック専門店、キオスクがあり、これらの関係性を巧くわきまえて、それぞれの流通にどう働きかけるか、という工夫をそれぞれの出版者が精一杯に考えている。
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by ganpoe | 2009-03-25 23:20 | Social or Economic


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