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協同:新会社法からその後へ

今年の5月1日から施行されました、新「会社法」は、協同の会社作りのためにも、非常に興味深いことになっています。

昔、政治経済学の批評家、カール・マルクスは、資本家(資本を所有しているもの)の支配するのが資本主義であって、そこでは所有する力のあるもの、すなわち、財力のあるものが支配する世界になる、その結果、不平等が継続する。と解いた事はご存知の通りです。

 そして、未来の協同社会はどうなると彼が考えたかというと、この所有者の支配から、実際の生産者、つまり経営者としての労働者が支配していく社会になる、ということだ、といっているのです。(資本論第3巻、第27章など)

 そして、一番マルクスから遠そうな日本の新自由主義の政治家、官僚方たちが、なんとも皮肉なことに、それを実行していっているように見えるのです。

 今回の新会社法の一番の特徴は、何より、元有限会社であったような会社に対する変化でしょう。有限会社は基本的になくなって、株式会社を名乗る。

 しかし、その株式会社は、定款によって、経営者自治を高められる。つまり、定款に議決権を限定する株主とする、と書けば、株式(投資)は投資家が行えられますが、実際の経営は、経営者(労働者の代表)が行う、と法的に決められるのです。

 さらにまた、株式の所有数に限らず、議決権は株主全員1票のみとする、と規定することもできます。株式会社がです。

 これは協同組合の話ではありません。株式会社がです。

 協同組合は実は将来の株式会社の姿だ、という説がありますが、それが現実に迫ってきているのかもしれません。

 もちろん、こうなると経営者の横暴が出てくる可能性があるので、経営の公開、チェック機能の強化なども定められています。協同組合でも、経営者である理事会などが腐敗するケースが多々あるのは、同じようなことです。協同組合が万能にいいわけではありません。


 さて、労働者の代表としての経営者でしかありませんが、経営者が自立し出せば、いいのでしょうか。いいえ、何を作り、何で儲けていくか、という目的、株主に評価してもらう「結果」というものは何か、という問題があります。普通、株主は、単に金が増えればいい、と考えます。しかし、それ以上の、生活をよくしていくため、そして環境汚染をしないような、文化も自然も楽しめるような地域づくり、を考え、そのような動機を持つような人々を生むためには、今度の会社法改正のみでは不十分です。

 それぞれの町や村、集落、横丁、などの地域において、多くの人がそのような生活を大事にするように働き、遊ぶようにならなければいけません。株主の動機が、会社の目的が、金儲けのみでなく、生活を良くしていく、というものに変わっていくためにも、この地域の関係という点への注目は重要です。

 なぜ「地域」にこだわるのか。このグローバリゼーションの時代に?

 もちろん、国際的なNGO、あるいは国連などの活動も重要です。しかし、彼らも実際の行動は、それぞれの「地域」での取り組み、となっているのです。

 さらに、先進国が旧植民地を搾取するという構造があるのなら、先進国自体のそうせざるを得ないような内部構造、政治的経済的な社会構造が変わらなければなりません。そのためにも先進国自体が変わる、その中で活動する必要があるのです。

 その時、「生活をよくしよう」と考え、行動する主体はどこにありえるでしょうか?

 メディアでしょうか。インターネットでしょうか?

 もちろん、それらも大事です。 しかし、それらを活用して、実際に行動するには、やはり手作業の直接的な人と人との間の共同作業・対話・企画・実行が不可欠です。

 そのためには「地域」における人と人との、人と自然との、人と歴史・伝統とのかかわりがなくてはだめだと思います。
by ganpoe | 2006-06-01 13:06 | Social or Economic

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