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2009年 01月 31日

イギリスの産業地区アソシエーションから 独米のコンバイン型大企業化へ

2004年7月3日


 プルードン。あちこちで自由にやる人たちがいながら、どうやって経済がうまく調整できるか。どうやって信用が保てるか。そういう問題を一生の間、追及し続けた。でも、これは難しい問題です。だけど、面白いヒントはたくさんある。そういう人。

 しかしまた、同時にプルードンのころのフランス社会、つまり19世紀の中ごろには、まだ可能性があった個人職人たちの自立、というのは、その後の技術力の発展、分業の必然性の中で、どんどん不可能になっていって、結局、大企業、国営企業、などが影響力を増していったのも歴史の事実です。それは主に1870 から80年代ぐらいに起きてきたことです。

 それまでは、イギリスが世界の工場、といわれるように、リードしていたんだけど、実を言うとイギリスの企業というのは中小企業が多かった。だから、そのころからの有名企業ってあまり聞きませんね。逆にあったのが、産業地区(Industrial Districts。経済学者マーシャルの用語)というもの。中小の企業が地域的に集まることによって、お互いに情報や労働力を融通しあって発展してきたものです。だから、イギリスの産業が発展した、と言っても、実際のところ、例えば前に話したオーウェンのスコットランド、マンチェスターにおける綿工業みたいにある一定の都市、その周りの地域のいくつかが発展していたわけです。

  1870年、80年から何がおきたか、というと、例えば、ドイツはそれまでいくつかの国に分かれていたのですが、統一ドイツができた。アメリカでは南北戦争が起き、北が勝つことによって、工業を中心とした国の発展が始まった。ちなみに日本も明治維新を始めましたね。そういう新しい工業国が伸びてきたのです。

 それらの国は、ドイツや日本なら民間だけでなく国の財源を利用して急速な経済発展を狙った。アメリカはどちらかというと民間主導ですが、銀行などを中心としてどんどん企業合併を進め、大企業化を目指しました。イギリスは、同じ民間主導でも、合併を自由市場経済を破壊するもの、として規制していたのです。そのかわり、中小企業同士の協定、カルテル、トラストは、それこそ、今までのイギリスの産業地区の伝統にのっとり、自由、としていたのです。大きな意味で言って、中小企業の経済発展のために、一定のアソシエーションは必要である、という考えですね。アメリカは逆です。そんな協定を結ぶことこそが市場を阻害する。しかし、合併による大企業化は市場における結果だから認める、ということです。

 しかし、綿工業が先導していた時代ならともかく、そのころは重工業化が、例えば、鉄鋼、造船、などが先導していた時代でした。綿工業では競争が激しくて(全体的な技術力が上がって、参入障壁が低くなってしまったので)十分な利益を得られない、と判断したドイツやアメリカの産業界は、巨大な資金力を投入して、重工業化を進めたのです。これが世紀の変わり目に明らかになってきたイギリスの没落。アメリカ、ドイツの台頭です。

 ただ、アメリカとドイツが違っていたのは、アメリカはまず西部開拓、という名のもとで、どんどん北アメリカを植民地化できた。重工業化に必要な原材料、資源、が豊富に入ったのです。それから、ドイツでは禁止されていた奴隷制度、これはもちろん、南北戦争の後、表向きは廃止されたのですが、安い労働力の供給源として役立った。もちろん、新しい移民もどんどん受け入れて、特にイタリアやアイルランドからの移民が増えてきた。

 それに対して、ドイツは周りが大国に囲まれていることもあって、植民地をなかなか広められなかったんですね。だから、20世紀に入ると、かなり強引に軍事力を使って侵略しようとした。イギリスやアメリカは自由主義で、ドイツや日本が軍国主義だ、といわれているのは、まあ事実ですが、それはもともと植民地を持っていたイギリスやアメリカに言われることではない、というところです。

 まあ、それはともかく、企業合併や国家の産業政策によって出てきた大企業化を、幾人かの社会主義者は、ある意味、中央で計画して統制していく計画経済が現れてきたもの、として歓迎する場合も多かったんですね。これをコンバイン(合併)型、と呼びます。いえ、私が勝手に呼んでるだけですが。。。

 えっと、そういう重工業化の流れの中で、逆に1970年代あたりから新しい地域アソシエーション型の経済の発展が注目されつつある、という話もしようと思っていたのですが、暑くなって来たので、ちょっと休憩を取ります。梅雨はどこへ行ってしまったのでしょう?夏日が続くようですが、皆様、お体をご大事に。敬具。

(つづく)


【参考文献】
マーシャル、アルフレッド『経済学原理』
中村剛治郎『地域政治経済学』
Dobbin, Frank, "Forging Industrial Strategy: The United States, Britain, and France in the Railway Age."
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by ganpoe | 2009-01-31 12:23 | Social or Economic


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