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2008年 05月 14日

紫禁城

東京都写真美術館で「紫禁城写真展」をみた。

清朝というのは、いわゆる中国人である漢人が作った帝国ではない。北東部にある満州国人が作ったものだ。

満州国人が漢族をおさめているので、紫禁城の門には漢字と満字(?)の二つの文字が並んで記載されている。そして皇帝の一族は、チベット仏教に帰依していたという。「世界帝国」としてあらゆる民族を融和する、要するに手なずけようとしていた訳だ。

ところが、いわゆる近代国家を目指す中華民国が最後の皇帝を追い出した後、その額はおろされ漢字のみの額が立てかけられた。漢族ナショナリズムの勃興だ。その当時の写真が今回の展覧会では展示されている。

その後、共産党が中華人民共和国を設立した際に、今度は博物館として満州語が復活した。共産主義は一応「世界革命」というスローガンがあって、民族を超えて融和していこうという考えもあるからかもしれない。たとえば、ソ連などもカザフやトルクメニスタン、ウクライナ、その他多くの民族が多く住む地域を併合していた。トルクメニスタンはトルコとつながりがある民族で、これと近い民族なのが中国国内にいるウイグルだ。

そして中国での最近の資本制度の大幅の導入だが、これは経済的競争を進めるから当然経済格差が生まれる。この格差のいわゆる「負け組」の憤懣のはけ口の一つとして、ナショナリズムがある。この結果が、漢族のナショナリズムとチベットの民族運動の激化の背景にあるのかもしれない。

資本制にはナショナリズムが欠かせないのだろうか。

もちろん中国政府もそれなりに漢族ナショナリズムをあおって、不満をそらそうとしてきた。とはいえ、ナショナリズムがあまり強くなると、対外的関係に影響するし、また、官僚への反抗が高まる。国家を代表する官僚(と特権階級の政治家)と「国民」とは完全に一致している訳ではないのだ。

たとえば、戦前の日本でも、ナショナリズムは既存の特権階級への反抗という形で出た。五・一五事件などだ。
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by ganpoe | 2008-05-14 12:02 | Social or Economic