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資本は「主義」か「制度」か?どうやったら変えられるか?

「資本主義」と言うが、それはそもそも「主義」なのでしょうか?

「主義」というのは、何か思想を選ぶ、ということです。
それに対して、「資本主義」と言うのは人が選ぶというよりも、
ひとが貨幣を用いた交換をする限り、どうしようもなく出てくる「制度」ではないでしょうか。

だから、私はほとんど「資本主義」と言う言葉を使いません。
「資本制」と言います。

19世紀中頃には、だから、資本主義という言葉がありませんでした。
「現実」である資本制度に対して「社会主義」や「共産主義」を選ぶ、ということはあったのです。

さて、その「資本制」の中心は、貨幣を用いて交換することで、買った時より高く売れるかもしれない、ということにあります。

貨幣を持ってきて、何かを買う、そして、それを移動する、あるいは加工する、そしてそれを買った時よりも高い値段で売れば、「もうけ」が出てきます。
非常に多くの人がそれを行い出すと、社会全体が「資本制」になってきます。

貨幣をM (Money)、そしてものを商品 C (Commodity)とすると、この交換は、

M-C-(M+m)
 または M-C-M'

となります。この式を見て問題となるのは、二つです。
まず最初にM、つまり貨幣を持っていなければならない。
そのためには、誰かから借金をするしか無いのです。

第二に、C-M に変えられるか、つまりあるものを売れるかどうかは、先には分からない、
ということです。

要するに、最初に売れるかどうか分からないものをつくるために、借金をして、だからこそ、それを絶対に売れるように、「命がけの跳躍」をしなければならない、それが資本という制度なのです。

この行為を「倫理的」に批判しても、限界があります。
それはどうしようもない、人間が社会で生きる上での「現実」だからです。
「資本主義」という言い方には思想だから考えを倫理的に批判しさえすれば変わるという思いが背景にあると思います。
もちろん、それば大事です。
人々の行動を促すからです。

その上で、では、どういう方向にその行動が動けば、この「資本の制度」を超えられるのでしょうか?

M-C-M'が問題なのだから、貨幣を用いながらも、
C-M-C が出来るようにする方法を探れば良い、というのが根幹です。

C-M-C とはつまり (ニーズ(商品C)を消費者(生活者)が形になって表し、それだけに投資し(M)、生産する、流通する、循環する。。。)

では、それをどうやるのか?
資本制度の中で?
雇用制度の中で?
国家の補助金縛りの中で?

結局、地域住民を軸とした「生活」側からの声上げ、改革しか無いのではないか、と思います。

長野県の飯田市の市長が言っていたのですが、住民から省エネのためのLEDをつくりたいが、
高価で導入しにくい、という話が出ていた。
そこで、市の行政として、ある価格のものが出来れば、幾つか買い取る、と条件を出した
 (C, 商品、ニーズの条件を先に出した)
すると、市の今までつながっていなかった中小業者が、集まって知恵を出し合って、
なんと今までの3分の1の価格のものをつくってしまった。
 (ニーズが分かっているので、命がけの跳躍が低くなる(技術開発出資 M がしやすい))
市役所やまちにまちの工場たちがつくったLEDが普及しはじめたそうです。
技術も情報も金も地域で循環しはじめた。
これは示唆的だと思います。


あらためて、地域住民を軸とした「生活」側からの声上げ、改革が必須です。
それが強く出てくるのは、ようするに戦争とか、災害とか、大事故とか、大危機です。
そのあとで、どう動くか、です。
911、年金、格差、サブプライム、リーマン、欧州ソブリン、311....
by ganpoe | 2012-09-05 21:30 | Social or Economic

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