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ルソーの『社会契約論』で有名な謎の文が

ルソーの『社会契約論』で有名な謎の文があります。(幾つも謎がありますが)

Si, quand le peuple suffisamment informe delibere, les citoyens n'avaient aucune communication entre eux, du grand nombre de petites differences resulterait toujours la volonte generale, et la deliberation serait toujours bonne. 

中山元の訳ですと、

「人民が十分な情報をもって議論を尽くし、たがいに前もって根回ししていなければ、わずかな意見の違いが多く集まって、そこに一般意志が生まれるのであり、その決議はつねに善いものであるだろう。」

最初の「人民が十分な情報をもって議論を尽くし、」は、データサイエンスで、その分析をロジカルに個々人が議論し思考することができれば、と読み替えれば
十分な情報を得られる「データとAIと、何らかのロジカル協議」で、達成可能かもと思われます。
それで「一般意志2.0」 の可能性!?なんて思っちゃうんですね。

難しいのは、その次の

「たがいに前もって根回ししていなければ、」???
原文によれば、「たがいに前もってcommunication していなければ、」ですが、
このcommunication が、なんなのか、分からない。。。

文の前後を読むと、association のことのようにも読めます。
前もって association を組んでいなければ、一般意志に至れるかも。となります。

前もってのassociation が根回しをする、と言うのは、要するに既得利益団体、でしょう。
 既得団体が前もって圧力をかけるので、「本来必要な変化や真実やロジカルな議論」を抑え込むので、一般意志には至れない。
  と、解釈できます。

アメリカで言えば、ロビイスト。日本で言えば、ご存知、なんとか連、とか、なんとか会、とか。

一般意志とか社会契約とか社会契約には命を捧げろとかルソーが言うから、集団的思想のように思われますが、
この考えで言うと、極端に厳しいまでの「集団否定」がルソーと思えます。
仲間とグルになってはいけない、と言うのだから。

そうではなくて、ある意味、とことん個人の自由。
「個人」それぞれが「主権」となって、主権の意識と行動力を持った人が、同等の資格で結びついたときに、
初めて社会契約が成り立つので、
そして、その社会契約のもとで、「十分な情報をもって議論を尽く」せば、一般意志を発見できるだろう、となります。

つまり、個人個人が「主権」とならず、団体に依存する。。。というのであれば、一般意志は無理ですね。

そういう意味で、カトリック的なところでは難しいだろうし、
アジア的な法家思想や空気を読む世界では、ルソー的な一般意志は難しいのであろう、

可能性の中心を見ることができるのは、個人と神が直接ぶつかるプロテスタントが広がった
スイス、ドイツの北部/西部、そして北欧などだったんではないか。

(おんなじ、プロテスタントでも英国教会や米国ピューリタン共同体は違うんでしょうね)

主権は、国家に対してだけではなく、身の回りや、地域や、さらに世界に対しての主権、ということもあると思います。
 グレタさんなんか、世界への主権者意識がすごいな、と思ったり。。


まぁ、これはルソーが正しいとして、ということですけど。
association や 空気を読む をうまく活用した、個人のケイパビリティ/社会的共同条件ニーズ、を達成できる道もあるのかも知れない。

by ganpoe | 2020-06-04 00:08 | Social or Economic

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